MOSのゲート容量を用いたサージ対策を組み込んだポイントデコーダを製作しました。
サージ以外の事故要因として、MPUの暴走やバグによって、同じハーフブリッジのハイサイドとローサイドが同時にオンになると、大電流が流れて損傷する可能性があります。デバッグ中も危ないです。そこで、安全対策としてハイサイドとローサイドが同時にはオンにならないようハードウエアでの動作制限もしています。
設計上は素子の定格内で動作するようにしましたが、実際にすべてが定格内で動作しているかの検証テストには少し時間がかかりそうです。
長時間の負荷テストを行ったところ、加熱などの異常は確認されていませんので、とりあえず概要を簡単にご報告いたします。
・機能
高圧のサージの原因となる、ターンオフ時の磁束の変化速度を抑えるために、MOSのゲート容量を用いた時定数回路が組み込まれています。
MPUの制御に異常があっても、同じ側のハイサイドとローサイドが同時にオンにならないように、ショートスルー防止回路も組み込んであります。
機械式スイッチの場合と同様に、12Vをそのまま加えています。通電時間については、現状では50ms固定にしています。できるだけ無調整で使える仕様にしたいと思います。
・外観
KATOのHO電動ポイントのソレノイド横にちょうど収まります。片面実装で厚みは2.9mmですので、底面カバーも閉まります。
トラブル回避のために具体的なパーツや回路の情報は当面公開しないことにしましたので、とりあえず基板の画像だけでお許しください。この配線パターンは誤りが見つかり、本番用に少し修正することにしました。
・耐久テスト
通常利用よりも極端に高負荷なテスト条件として、KATOのHO電動ポイント2台、TOMIXの電動ポイント1台、KATOのポイントマシン1台、計4台を並列につないで動作させています。右奥のHOポイントの動きが見づらいですが、道床の向こう側に少しだけ見えているレバーの動きでわかります。4台とも軽快な音でスムースに動いています。
概算では、4台ともKATOの電動ポイント同等の特性だとすると、定格ギリギリか少しオーバーしているかもしれません。
バリスタやコンデンサなどのサージ吸収デバイスは使用していませんので、これらが外れることによる事故の心配は無用です。
駆動電圧は12Vフルに供給し、通電時間は長めに50msとしています。
3秒ごとに切り替え動作をさせ、1時間以上連続動作させましたが、元気に動きつづけています。ドライバは少し温かくなりますが、異常な加熱などは見られていません。
4台で異常が起きないということは、通常の1台だけの接続であれば、十分に余裕がありそうです。異常が見られない=定格内とはいえないので、後できちんと計測します。
・これからの予定
・動作の詳細検証
正常に動いているように見えても、定格内で動いているとは限らないので、電圧や電流が定格内に収まっているか検証する予定です。部品を外す必要もあるため、少し時間がかかりそうです。
違う環境でも安心して使えるよう、他メーカーのポイントなどでも動作確認を進められればと思います。
・ポイントへの組み込み
問題が無い事が確認出来たら、手持ちのポイント全部に組み込みたいと考えています。
・各種ポイントの特性比較
サージのような過渡現象に影響するインダクタンスの測定、SPICEでのシミュレーションなども行ってみたいと思います。実測とSPICEが一致すると気持ちいいのですが。
・本ページの更新
内容を追加して、動画も作りなおしたいと思います。
事故につながる可能性のある誤解や、測定データの信憑性に関する疑念を招かないように、内容は限定させていただくつもりです。
2024/1/21:小型化したVer2を製作しました。定格内動作の確認もできました。